後編: 妻の「家賃アービトラージ」に殺される夫たち。持ち家が離婚で「最大のリスク資産」になる構造的欠陥

「ローンは貯金だから婚姻費用から引けない」

家庭裁判所でそう告げられた時、多くの夫は耳を疑う。
自分が毎月15万円のローンを払い、そこに妻がタダで住んでいるのに、婚姻費用(生活費)からは「たった2万円」しか引かれないからだ。

なぜこんな理不尽がまかり通るのか。
そこには、裁判所による「官製ダンピング」と、それを利用して妻が利益を得る「アービトラージ(裁定取引)」の構造が存在する。

後編では、持ち家エリートだけが陥る「三重苦」と、賃貸派がいかに勝ち組であるかを解説する。

【市場の歪み:年収1200万夫のマンション】

  • 物件:都内3LDK(市場家賃18万円相当)
  • ローン:月15万円(夫が支払い)
  • 状況:夫が別居、妻が居住。
  • 裁判所の判断:住居費として「2万円」だけ控除。

1. 夫を殺す「三重苦」のキャッシュフロー

持ち家がある夫が家を出ると、財布には3つの穴が開く。

  1. 婚姻費用: 21万円(本来23万だが、妻の住居費として2万だけ引かれる)
  2. 住宅ローン: 15万円(名義人である夫の絶対義務)
  3. 夫の家賃: 8万円(自分が住むワンルーム)

合計固定費:44万円

手取り50万円のうち、44万円が消える。
残りの6万円で生きろというのは、もはや生存競争だ。資産(持ち家)があるせいで、生活が破綻する本末転倒が起きている。

2. 妻による「家賃アービトラージ」

この理不尽の正体は、妻による「家賃差額の着服」だ。

本来、夫は妻に「18万円の価値がある家」を提供している。
しかし裁判所は、「専業主婦の標準的な住居費(統計値)」を根拠に、「家賃は2万円でいい」と決定する。

市場価格(18万) - 統制価格(2万) = 16万円

この16万円はどこへ消えたのか?
妻の懐だ。
妻は「23万円の生活費」を受け取る権利があるが、実際には「21万円の現金」+「18万円の家」=合計39万円相当を受け取っている。

この「見えない16万円」は、夫から妻への所得移転であり、妻にとっては非課税の不労所得だ。
これが、妻が絶対に離婚せず、家に居座り続ける経済的動機(インセンティブ)となる。

3. なぜ「賃貸派」が圧勝なのか

一方で、もしこの夫婦が「賃貸マンション(家賃18万円)」に住んでいたらどうなるか。
景色は劇的に変わる。

夫が大家に払う家賃18万円は、全額が「住居関係費」として認められる。
つまり、婚姻費用23万円のうち、18万円は家賃で消え、妻への送金は「5万円」で済むのだ。

項目 持ち家夫 賃貸夫
住居費負担 15万円(ローン)
※別腹
18万円(家賃)
※婚費に含まれる
妻への送金 21万円
(2万しか引かれない)
5万円
(家賃全額引ける)
夫の総支出 36万円 23万円

差額:月13万円

賃貸派は、持ち家派より毎月13万円も豊かだ。
さらに、妻が「手元現金5万じゃ暮らせない」と言えば、妻自ら安いアパートへ引っ越す(グレードダウンする)力学が働く。

結論:家を買うな、自由を買え

離婚リスクにおいて、持ち家は「資産」ではなく、妻に搾取されるための「人質」だ。
市場原理を無視した裁判所の査定によって、夫は資産価値を吸い尽くされる。

高年収のエリートこそ、家を買ってはならない。
いつでも解約でき、適正価格が認められる「賃貸」こそが、不確実な結婚生活における最強のリスクヘッジなのだ。


参考文献・エビデンス

  • 住居関係費の控除: 東京・大阪養育費等研究会「標準的な生活費」における住居関係費の割合。専業主婦(収入ゼロ)の場合、公営住宅等の家賃水準(約2万円程度)が基準とされる実務運用。
  • 資産形成と婚姻費用: 多くの家事審判例において、住宅ローンの元本返済部分は「資産形成」として婚姻費用の分担から除外されない(控除されない)との判断が定着している。
  • 賃貸借契約の解約: 民法617条(期間の定めのない賃貸借の解約)。

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