資本主義社会において、最も残酷な運命を辿るのは「資産家」でも「貧困層」でもない。
「高年収だが、フロー(給与)しかないエリートサラリーマン」だ。
彼らは平時には勝ち組として振る舞っているが、ひとたび「不倫」という過ちを犯し、離婚トラブルの泥沼に足を踏み入れた瞬間、社会システムにおける「最も効率の良い搾取対象」へと転落する。
今回は、年収1200万円の夫が、妻から「一生許さない。離婚もしない」と宣告された場合に待ち受ける「懲役刑」の実態と、そこから生還するための唯一の計算式を提示しよう。
【ケーススタディ:囚人となったエリート】
- 属性:大手企業勤務、年収1200万円(手取り月50万)
- 資産:1000万円(全額共有)
- 家族:専業主婦の妻、7歳の子供
- 判決:夫の不貞により別居。子供が成人する(あと15年)まで離婚は認められない。
1. 15年で「4000万円」が溶ける仕組み
まず、残酷な現実を直視しよう。
有責配偶者からの離婚請求は、相手が合意しない限り、原則として認められない。特に未成年の子供がいる場合、裁判所は「信義則」を盾に、長期間の婚姻費用支払いを命じる。
年収1200万円の夫が払う婚姻費用は、算定表に基づくと月額23万円だ。
- 毎月のキャッシュアウト: 23万円
- 期間: 15年間(180ヶ月)
23万円 × 180ヶ月 = 4140万円
これが君の確定債務だ。
都内のマンションが買える金額をドブに捨てた後に、ようやく離婚が成立。そこからさらに財産分与と慰謝料を取られる。
「離婚しない」という選択は、緩やかな破滅(老後資金の消滅)を意味するのだ。
2. 解決金は「差額」で計算せよ
この地獄から脱出するには、金を積んで妻にハンコを押させるしかない。
だが、多くの人が「婚姻費用5年分(1400万円)」などを提示して自爆する。これでは破産だ。
金融リテラシーを働かせてほしい。
妻にとって、離婚することの経済的デメリットは何か?
それは「月々の振込額が減ること」だけだ。
- 離婚しない場合(婚姻費用):月23万円
- 離婚した場合(養育費):月15万円
- 差額(妻の損失):月8万円
妻が離婚を拒む理由は、この「月8万円の既得権益」を守るためだ。
ならば、この差額の5年分(60ヶ月分)を「現在価値」として一括払いすれば、理屈の上では妻の損失は補填される。
【正しい手切れ金の計算式】
差額8万円 × 60ヶ月 = 480万円
「たった5年分?」と妻の弁護士は言うだろう。
だが、夫が病気で倒れたりリストラされたりするリスクを考えれば、「不確実な15年」より「確実な5年分の現金」を選ぶのが経済合理性だ。
3. 必要な借金は「800万円」
交渉が成立したと仮定しよう。
君が自由になるために、その場で用意すべき現金を計算する。
- 財産分与: 500万円(資産1000万の妻の持分)
- 慰謝料: 300万円(有責行為の代償)
- 解決金: 480万円(差額5年分)
合計支払額:1280万円
君の手元には、財産分与後の「自分の資産(500万円)」が残っている。これを全額充当する。
1280万円 - 500万円 = 780万円
結論が出た。
君が銀行から借りるべき金額は、約800万円だ。
年収1200万円の属性があれば、800万円のフリーローンなど即座に通る。
4. 離婚後の「生存可能」な家計簿
借金800万円を背負って離婚した場合、翌月からの収支はどうなるか。
【離婚後の月次収支】
月の手取り給与: 500,000円
▲ 養育費: 150,000円
(子供への義務)
▲ 借金返済: 85,000円
(800万借入・金利5%・10年返済)
残りの可処分所得:265,000円
手残りが26万5000円。
決して富裕層ではないが、人間らしい生活はできる。
何より、月23万円をむしり取られ、家に帰れば針の筵(むしろ)という地獄に比べれば、カップラーメンを一人ですする自由は格別なはずだ。
結論:損切りできない者は破滅する
投資の世界でも人生でも、最も重要なスキルは「損切り」だ。
- プランA(現状維持):
15年間飼い殺され、総額4000万以上を失い、40代・50代を棒に振る。 - プランB(借金離婚):
資産を失い借金800万を背負うが、月26万円で生活し、明日から新しいパートナーを探せる。
どちらがマシかは自明だろう。
エリートの信用力を「自由の買い戻し」に使え。800万円は高いが、人生を取り戻す価格としてはバーゲンセールなのだ。
参考文献・エビデンス
- 婚姻費用の算定: 裁判所「養育費・婚姻費用算定表」(令和元年版)における年収1200万円(給与所得)・子1人(0〜14歳)の基準値。
- 有責配偶者の離婚請求: 最高裁大法廷判決 昭和62年9月2日(未成熟子の存在を理由に請求棄却)、民法770条。
- 財産分与の割合: 民法768条および実務上の「2分の1ルール」。


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