残酷な事実を突きつけよう。あなたがもし、年収1000万円を超える「高給取り」の勤務医で、真面目に毎日病院に通っているとしたら、あなたは国家にとって「最も効率の良いカモ」だ。
あなたは自分をエリートだと思っているかもしれない。専門医資格を持ち、難解な症例をこなし、社会的に尊敬されていると。だが、通帳の残高を見て、ふと違和感を覚えたことはないだろうか。「これだけ働いているのに、なぜ資産が増えないのか?」と。
答えはシンプルだ。ゲームのルールを知らないからだ。
今回は、日本の歪んだ社会保障制度の隙間(アービトラージ)を突き、合法的に手取りを最大化する「マイクロ法人」という戦略について話そう。
「安定」という名の檻の中にいる医師たち
日本のサラリーマン(勤務医を含む)は、世界でも稀に見る重税国家の住人だ。しかし、多くの医師はその事実に気づいていない。なぜなら、源泉徴収という「麻酔」をかけられているからだ。
給与明細を見てほしい。所得税や住民税に目を奪われがちだが、真のラスボスはそこではない。「社会保険料」だ。
年収1000万円の勤務医の場合、社会保険料(健康保険・厚生年金)の本人負担は約133万円。だが、これは氷山の一角にすぎない。会社(病院)が同額の約140万円を負担していることを忘れてはならない。つまり、あなたの労働が生み出した価値から、年間約273万円もの大金が、問答無用で天引きされているのだ。
「会社が半分払ってくれている」というのは、心地よい嘘だ。病院側からすれば、あなたを雇うためのコストは「給与+社会保険料」の総額だ。もし社会保険料がなければ、その分を給与として上乗せできる余地がある。つまり、労使折半とは名ばかりで、実質的には全額あなたが負担しているのと同じことなのだ。
この年間273万円というコストは、あなたがどれだけ健康で、一度も病院に行かなくても、将来の年金がどれだけ減らされようとも、一律で徴収される。これは保険ではない。実質的な「罰金」だ。
黄金の羽根は「マイクロ法人」に落ちている
では、どうすればこの搾取構造から逃れられるのか。答えは、橘玲氏がかつて喝破した通りだ。「サラリーマン(給与所得者)」という身分を捨てることである。
ここで紹介するのは、極めて合理的な「二刀流」の生き方だ。
- 個人としてはフリーランス医師(個人事業主)になる
- 社会保険に加入するためだけの「マイクロ法人」を設立する
このスキームの破壊力は凄まじい。
まず、あなたは常勤医を辞める。そして、複数の病院と「非常勤」として契約を結ぶ。ここで重要なのは、一つの病院での労働時間を「週20時間未満」に抑えることだ。これにより、勤務先での社会保険加入義務が消滅する。あなたは自由なフリーランス医師となる。
次に、あなた自身が代表を務める「マイクロ法人(合同会社で十分だ)」を設立する。そして、その法人から自分自身に「役員報酬」を支払う。
ここからがマジックだ。役員報酬を月額4万5000円に設定するのだ。
年間200万円以上の「フリーランチ」を手に入れる
「月収4万5000円でどうやって暮らすんだ?」という反論が聞こえてきそうだ。安心してほしい。生活費は、フリーランス医師として稼いだ個人事業の報酬(数千万円)から賄えばいい。
マイクロ法人の役員報酬を月額4万5000円にすると、社会保険料の等級は最低ランクになる。健康保険と厚生年金を合わせても、本人負担と法人負担の合計で月額約2万2000円程度。年間で約27万円だ。
思い出してほしい。常勤医時代の社会保険料はいくらだったか? 年間約273万円だ。
- 常勤医のコスト:273万円
- マイクロ法人のコスト:27万円
- 差額:246万円
ただ「働き方の契約を変える」だけで、年間246万円、10年で2460万円ものキャッシュが手元に残る。運用益など及ばない、確実なリターンだ。これを「錬金術」と呼ばずして何と呼ぶだろうか。
もちろん、これは脱税ではない。現在の法制度に完全に則った、合法的な「節税(タックス・ヘイヴン)」だ。
なぜ彼らは「檻」から出ないのか
これほど合理的な戦略があるにもかかわらず、なぜ多くの医師は常勤というステータスにしがみつくのか。
それは「恐怖」と「無知」が原因だ。「フリーランスは不安定だ」「社会的信用がない」「住宅ローンが組めない」といった、昭和の価値観の亡霊に怯えている。
だが考えてみてほしい。医師免許という最強のライセンスを持ち、売り手市場の医療業界において、食いっぱぐれるリスクなど存在するだろうか? 万が一、フリーランス生活が肌に合わなければ、いつでも常勤に戻ればいいだけの話だ。
また、法人を持てば、経費の概念が生まれる。車も、パソコンも、学会への旅費も、すべては「事業経費」となる。給与所得者には許されない「経費」という魔法が使えるようになるのだ。
このあたりの「サラリーマンがいかに搾取されているか」、そして「法人というツールがいかに強力か」については、私の拙い説明よりも、この本を読んだ方が早いだろう。20年以上前に書かれた本だが、本質は何も変わっていない。いや、社会保険料負担が増した今こそ、必読の書となっている。
自由への扉は開かれている
結局のところ、経済的な自由を手に入れられるかどうかは、能力の差ではない。「知っているか、知らないか」。そして「やるか、やらないか」だけの違いだ。
多くの医師は、医局人事という荒波に揉まれながら、不満を抱えつつも現状維持を選択する。それはそれで一つの生き方だ。否定はしない。
だが、もしあなたが「自分の人生のコントロール権を取り戻したい」と願うなら、マイクロ法人という選択肢は、現代に残された数少ない希望の光となるだろう。
ルールは変わらない。しかし、プレイヤーであるあなたが変わることはできる。
さあ、賢明な医師諸君。いつまで「名誉ある搾取」に甘んじているつもりだろうか。

